【3月20日 AFP】マーチ・マッドネス(March Madness)として国内で人気が高い全米大学バスケットボールトーナメント(NCAA Basketball Tournament)を主催する全米大学体育協会(NCAA)は19日、男子と女子の大会でそれぞれ提供している施設に格差があるとして批判にさらされた。

 オレゴン大学(University of Oregon)の女子バスケットボールチームの2年生セドナ・プリンス(Sedona Prince)は、テキサス州サンアントニオ(San Antonio)で行われる女子トーナメントのために用意された「ウエートトレーニング室」の動画をソーシャルメディアに投稿し、問題を提起した。

 そこにはベンチやアメニティーがなく、小さなフリーウエートの器具だけが置かれていた。同選手はさらに「男子のウエートルームを見せます」と話し、インディアナ州で開催される男子トーナメントのトレーニング施設では設備が充実している様子を紹介した。

 プリンスは男子との違いについてNCAAが最初にスペースに制限があるためと弁明していたことを皮肉るかのように、サンアントニオの施設では広々とした何もない空間が広がっている動画を投稿し、「この問題に腹が立たないなら、あなたも彼らと同じ」とコメント。このツイートはバスケットボール界から多くの反響を呼んだ。

 米プロバスケットボール(NBA)のスター選手であるゴールデンステイト・ウォリアーズ(Golden State Warriors)のステフェン・カリー(Stephen Curry)は、「わお、冗談だろ!」とのコメント付きで動画をリツイート。

 ブルックリン・ネッツ(Brooklyn Nets)のカイリー・アービング(Kyrie Irving)もインスタグラム(Instagram)で、「NCAA、これが俺たちの女王への扱い方か???!!!」と差別を批判し、「こんなのは容認できない! 彼女たちはもっと価値がある!」と主張した。

 米スポーツ専門チャンネルESPNは、NCAAバスケットボールの副会長を務めるダン・ガビット(Dan Gavitt)氏が、同日オンラインで行われたメディアとのビデオ会見で、この問題について謝罪したと報じた。

 その中で副会長は、「われわれは、調和と協調を目指して、一つの傘の下にバスケットボールを組織することを意識している。これらの期待に応えられていないなら、それは私に責任がある」と非を認めると、「サンアントニオのウエートルームに関する問題で、率直にへまをやらかしてしまったことについて、女子バスケットボールの学生アスリートをはじめ、コーチ陣、女子バスケットボール委員会に謝罪する。できるだけ早期に改善する」と述べた。

 しかし、現役時代に女子バスケットボールの元米代表として三つの五輪金メダルを獲得し、現在はサウスカロライナ大学(University of South Carolina)の女子チームでコーチを務めているドーン・ステーリー(Dawn Staley)氏は、プリンスが指摘したウエートルームの違いは氷山の一角にすぎないと話し、こうした慣習は選手権に限ったことではなく「学校のキャンパスでも同じ。これは何も目新しいことではない」と強調した。(c)AFP