【3月20日 AFP】ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は19日、アジア系女性ら8人が殺害された事件が起きたジョージア州アトランタ(Atlanta)を訪れ、アジア系米国人に対する暴力を非難し、人種差別と外国人嫌悪に米国が加担してはならないと訴えた。

 バイデン氏は地元のアジア系住民の代表者らとの面会後、エモリー大学(Emory University)で演説し、米国内で憎悪と暴力は「しばしば黙殺される」と発言。「しかし、沈黙は加担することであり、われわれは加担することはできない」と述べた。

 さらに、「声を上げ、行動しなければならない」と訴え、「外国人嫌悪の再燃と闘う」よう国民に呼び掛けた。

 バイデン氏は、名指しこそしなかったものの、新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と繰り返し呼んで激しく批判されたドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領を明らかに非難。米国民は「以前から知っていることを再び学んでいる。言葉には結果が伴う。新型コロナウイルスのことだ。以上」と述べた。

 バイデン氏が指摘したように、アジア・太平洋諸国系の米国人(AAPI)に対する人種差別の撲滅運動「ストップAAPIヘイト(Stop AAPI Hate)」によると、こうした人々への攻撃が急増し、言葉の暴力や身体的暴行、差別、公民権侵害は昨年以来、3800件近く報告されている。

 バイデン氏のアトランタ訪問は当初、新型コロナウイルス対策に焦点を当てることを目的としており、同氏はまず、米疾病対策センター(CDC)を訪れて報告を受けた。しかし、同市でアジア系住民らが殺害される事件が起きたことを受け、カマラ・ハリス(Kamala Harris)副大統領と共にアジア系住民らとの面会を予定に追加した。(c)AFP/Eric BARADAT