【3月19日 AFP】米下院司法小委員会で18日、ジョージア州でアジア系女性6人が殺害された事件を受けて公聴会が開かれ、アジア系議員らが自らの経験を交えながら差別について証言した。

 専門家によると、米国では新型コロナウイルスの流行が始まった昨年から、アジア系に対する差別や暴力が激増。ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領が新型コロナを「中国ウイルス」と呼び、共和党議員が後に続いたことが原因とみられている。

 台湾系のグレース・メン(Grace Meng)議員は「われわれのコミュニティーは血を流している。傷ついている。そして私たちはこの1年間、助けを求めて叫び続けてきた」と語った。

 共和党のチップ・ロイ(Chip Roy)議員が、この公聴会は言論の自由を「取り締まる」試みだと発言すると、反発の声が上がった。

 台湾系で元空軍兵のテッド・リュウ(Ted Lieu)議員は、「私はウイルスではない」とくぎを刺した上で、「あなたはこのウイルスの呼び名に人種や民族名を使って政治的な点数稼ぎをしているのかもしれないが、アジア系米国人を傷つけている」と述べた。「どうかやめてほしい」

 アジア・太平洋諸国系の米国人(AAPI)に対する人種差別の撲滅運動「ストップAAPIヘイト(Stop AAPI Hate、AAPIへのヘイトを止めよう)」によると、アジア系に対する襲撃は昨年以来、3800件近く報告されている。

 ミネソタ大学(University of Minnesota)移民史研究所のエリカ・リー(Erika Lee)所長は、アジア系が「恐怖にさらされてきた」と語り、現在も続くアジア系に対する差別や暴力は、新型コロナの流行が終息しても消えることのない「制度的な国家の悲劇」だと述べた。

 リー氏は、「この24時間で多くの人が、アジア系に対する差別や暴力は米国らしくないと言っているのを耳にした」と前置きし、「残念ながら、非常に米国らしい」と指摘した。(c)AFP