【3月17日 Xinhua News】10年前の2011年3月11日、本川啓さんは宮城県石巻市で東日本大震災を経験した。中学校の卒業式の日だった。震災の影響で先が見えない中、高校に進学した本川さんは同年12月に中日友好協会の招きによる高校生代表団の一員として中国を訪問した。初めて中国を訪れ、山東省(Shandong)濰坊(いほう)第一中学(高校)に通う徐揚(Xu Yang)さんと深い友情で結ばれた。

 本川さんは取材に対し、「3・11の大震災がきっかけとなって中国を訪れ、徐さんと出会った。それが自分の人生の転機になった」と語った。本川さんは今月7日、在日本中国大使館が主催した中日青年オンライン交流会に出席し、「あの時、自分は英語が上手に話せず、徐さんと意思の疎通ができなかった。それで日本に戻ってから、しっかり勉強しようと思った」と述べた。帰国後、本川さんは猛勉強の末、第一志望の大学に合格した。中国やアジアの国々で教育関係の仕事をするのを将来の目標とし、卒業後は念願の教育関係の仕事に就いた。

 一方で、10年前の訪中以来、会っていなかった徐さんを探したいという思いをずっと抱き続けてきた。その願いを知った中国の外交官が徐さん探しに奔走し、ついに本人を探し当ててくれたという。

 現在、濰坊市博物館の職員として働く徐さんは、在日本中国大使館から連絡を受け、こう振り返った。

「一緒に過ごした時間は短かったけれど、友情は長く続いていた。あの時、本川さんが被災した故郷の写真を見せてくれたが、その町は今どのくらい再建が進んでいるのか、とても知りたかった。機会があれば、中国の銘茶をお土産に持って会いに行きたい」

 中国の孔鉉佑(Kong Xuanyou)駐日大使は、中日青年オンライン交流会に「中日友好の礎は民間にあり、未来は若者にある」と言葉を寄せた。(c)Xinhua News/AFPBB News