【3月10日 東方新報】長引く新型コロナウイルスの影響により、中国で多くの店舗が閉鎖している。個人店舗の廃業は100万店、フィットネスクラブは半減、コーヒー店は8割以上が閉店した。各業界は行政の支援やインターネットへの「転業」などで生き残り策を見いだそうとしている。

 企業データアナリストの崔凡(Cui Fan)氏は「昨年の1月から11月にかけて、個人経営の小規模店舗の閉店・休業は100万店を超えた」と説明する。閉店は都市部に多い。感染防止のため市民が「不要不急」の外出を控え、特に観光地や繁華街の飲食店が打撃を受けた。

 2019年の全国経済センサスのデータによると、個人事業主は平均2.37人を雇用している。約100万店の閉鎖により、多くの従業員も職を失った。このうち女性店員や出稼ぎ労働者、中高年の男性は再就職が困難だ。

 店舗を貸し出しているオーナーは家賃を融資に回していることが多く、中小企業が資金を調達する源となっている。北京大学(Peking University)デジタル金融研究センターの王靖一(Wang Jingyi)特別研究員は「多数の小規模店舗の閉鎖がまわりまわって中小企業への融資ルートをとめている」と指摘している。

 このため、各地の自治体は小規模店舗の家賃減免策を実施。吉林省(Jilin)長春市(Changchun)ではショッピングモール経営者と交渉し、テナントの2か月分の家賃を免除し、その後も家賃を引き下げることにした。また、市民が小規模店に入って「密」となることを敬遠する傾向に対応し、街頭の朝市やナイト・マーケットに小規模店が参入するよう指導している。

 コロナ禍の影響は小規模店にとどまらない。若者を中心に急速に広まっていたフィットネスクラブは、集団が室内空間で汗を流すため感染リスクが高いとみなされ、1年間で半数近くが閉鎖・休業した。一方、自宅でトレーニングをする「おうちフィットネス」の需要は高まり、フィットネス業界はオンラインレッスンに力を注いでいる。この流れで急成長を遂げたのは、オンラインでトレーニングプログラムを提供する「Keep」。今年1月には3億6000万ドル(約390億円)の資金調達を完了し、Keepの評価額は1年前の10億ドル(約1084億円)から20億ドル(約2168億円)に倍増した。

 新型コロナの影響を最も受けたのがコーヒー店だ。2020年の閉店率は83%に達した。北京を中心に店舗を拡大していた新興チェーン「漫咖啡(Maan Coffee)」は北京市内の店舗の3分の2を閉店。同じく新興チェーンの「連珈琲(Coffee Box)」は全店舗の閉鎖を発表した。

 コーヒーチェーン業界が活路を見いだしたのが、インスタントコーヒーだ。長らく低く見られてきたインスタントで高級路線を打ち出し、新たなブームを巻き起こした。昨年のインスタントコーヒーの消費量は45.7%増加した。

 コロナ禍は世界的にまだまだ続くとみられ、各業界とも生き残りのための「変化」や「進化」を余儀なくされている。(c)東方新報/AFPBB News