【3月7日 AFP】米上院は6日、新型コロナウイルスの流行で打撃を受けた米経済の回復を目指しジョー・バイデン(Joe Biden)大統領が推進している1兆9000億ドル(約210兆円)規模の追加経済対策法案を賛成50、反対49で可決した。

 法案は、ほとんどの米国人に1400ドル(約15万円)を給付し、州政府と地方政府に約3500億ドル(約38兆円)、学校に約1300億ドル(約14兆円)を割り当てるとしているほか、新型コロナウイルス検査や接触者追跡、研究の拡大に約490億ドル(約5兆3000億円)、ワクチンの分配に約140億ドル(約1兆5000億円)を充てる。

 この法案は、昨年成立した2兆ドル(約220兆円)規模の「コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法(CARES Act)」に次ぐ米史上2番目に大きな経済支援策となった。

 民主党は、同党上院で最も保守的で、法案の失業給付の規模が大きすぎると難色を示していたジョー・マンチン(Joe Manchin)上院議員の説得に全力で当たったため、5日の上院は10時間以上も動きが止まった。

 バイデン大統領が電話で説得したほか、毎週の失業保険の追加給付を400ドル(約4万3000円)から300ドル(約3万2000円)に減額するなどの調整を行ってマンチン氏の造反を防いだ。与野党の勢力が拮抗(きっこう)し、1票の差で法案の成否が左右される上院で、穏健派の影響力が強まっていることが浮き彫りになった。

 バイデン大統領は先にも、給付を受けられる家庭の所得上限の引き下げなど、財政出動の抑制を求める民主党上院議員との妥協を強いられていた。

 2020年の大統領選期間中に共和党と可能な限り協力すると約束していたバイデン大統領だが、共和党からは一票の賛成も得ることができなかった。

 法案の上院通過を受けてバイデン大統領はホワイトハウス(White House)から演説し、「私は米国民に、支援が近づいていると約束していた」と述べた。「今日、われわれはその約束を果たすために一つの大きな一歩を踏み出したと言える」

 民主党のステニー・ホイヤー(Steny Hoyer)下院院内総務は、9日に下院で修正法案を再可決し、来週の早い時期にバイデン大統領が法案に署名できるようにしたいと述べた。(c)AFP/Michael Mathes