【3月3日 AFP】米国のジョー・バイデン(Joe Biden)大統領の就任式で詩を朗読したアマンダ・ゴーマン(Amanda Gorman)さん(22)の作品の翻訳をめぐり、白人ではなく黒人が翻訳すべきとの声が上がり、オランダ人作家が辞退した。

 この作家は昨年、英国の権威ある文学賞「マン・ブッカー賞(Man Booker Prize)」の国際部門「国際ブッカー賞(Man Booker International Prize)」を史上最年少で受賞した、マリエケ・ルーカス・ライネベルト(Marieke Lucas Rijneveld)さん。ゴーマンさんの詩集「The Hill We Climb(私たちがのぼる丘)」の翻訳者として、オランダの出版社メウレンホフ(Meulenhoff)に選ばれた。

 だが、白人が黒人の作品の翻訳者に選ばれたことに対し、オランダのソーシャルメディアで批判が巻き起こった。これを受けてライネベルトさんは今回の翻訳を辞退すると発表した。

 黒人の人権活動家ジャニス・デウル(Janice Deul)さんは、ゴーマンさんの作品の翻訳者に黒人が採用される「機会が失われた」とし、白人のライネベルトさんには「この分野の経験がない」と批判した。

 これに対しライネベルトさんは2月25日、ツイッター(Twitter)で「私がアマンダ・ゴーマンさんのメッセージを広めることが騒動になり、ショックを受けている。メウレンホフが私に翻訳を依頼したことで、気分を害した人がいることも理解している」と述べた。

 またライネベルトさんは、ゴーマンさん側から自分が翻訳することを依然支持しているとの連絡を受けており、今回の詩の翻訳は「素晴らしく名誉な仕事」になっていたはずだと述べた。

 ゴーマンさんはバイデン氏の大統領就任式で自作の詩「The Hill We Climb」を朗読し、国際的な注目を浴びた。この詩は米連邦議会議事堂襲撃事件に触発されたもので、民主主義は「不滅」と宣言している。(c)AFP