■タクシー営業許可証の価格高騰に苦しむ運転手ら

 ニューヨークのタクシー運転手のほとんどが移民1世で、かつては週7日続けて長時間働けば毎月7000ドル(約75万円)は稼げた。

 ウーバー(Uber)やリフト(Lyft)など配車サービスの人気に押され、収入は大幅に落ち込んでいたが、コロナ禍で「突然がくっと落ちた」と、ミャンマー出身のタクシー運転手、リチャード・チョウ(Richard Chow)さん(62)は言う。

 それでも、多くの同業者ほどは切迫していない。ニューヨークのタクシー営業許可証「メダリオン(medallion)」を2006年に41万ドル(約4400万円)で購入していたからだ。その数年後、銀行の融資や投資にあおられてメダリオン価格は高騰。2009年、チョウさんの弟ケニー・チョウ(Kenny Chow)さんも75万ドル(約8000万円)でメダリオンを取得。2014年には価格は100万ドル(約1億700万円)に達した。

 ところが、ウーバーなどの配車サービスに何千人もの運転手が参入し、メダリオンの価格バブルが崩壊。その結果、メダリオンを高値で掛け買いしていた何千人ものタクシー運転手が負債を抱えるか破産した。

 ケニーさんは2018年に命を絶った。この年に自殺したタクシー運転手は、リムジン(limousine)などの運転手も含め、他に少なくとも7人はいる。