【1月25日 AFP】国際NGOオックスファム・インターナショナル(Oxfam International)は25日、新型コロナウイルスによる危機で不平等が拡大しており、世界の最貧困層が回復するには10年以上かかるとの見方を発表した。

「不平等なウイルス」と題した報告書でオックスファムは、新型コロナウイルスの影響によって、ほぼすべての国で一斉に不平等が拡大するという、統計を開始して以来、初の現象が起きていると警鐘を鳴らした。

 同報告書は、「世界で最も裕福な1000人は、新型コロナウイルスによる損失をわずか9か月以内に取り戻したが、世界の最貧困層が損失から回復するには10年以上かかる可能性がある」と指摘し、新型コロナウイルスによる影響は平等ではないという事実を強調している。実際、いくつかの国では少数民族の死亡率が高く、女性が多く働いている業界ほど、新型コロナウイルスによる打撃が深刻だ。

 オックスファムは報告書の中で、新型コロナウイルスからの景気回復を早期に実現するカギは、より公正な経済だと主張している。

 同報告書は、コロナ禍の中で最も利益を上げた32のグローバル企業の過剰利得に一時的に課税すれば、2020年に1040億ドル(約10兆8000億円)の税収が得られた可能性があると試算。これは中低所得国の就労者全員に失業手当を支給し、児童と高齢者の全員に経済的支援を行える額だとしている。

 オックスファム・インターナショナルのエグゼクティブディレクター、ガブリエラ・ブシェール(Gabriela Bucher)氏は、極端な不平等は必然的なものではないが、その是正には「政策選択」が必要だと言う。

「不平等との闘いは、経済の救済と回復を目指す取り組みの中心になければならない」として、公共サービスの財源は最富裕層の個人と企業が相応の負担をする租税制度によってまかなわれるべきだと述べた。(c)AFP