ヒスイとルビー、巨額の富とミャンマー軍部
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■富の蓄積
MEHLは中国、日本、韓国、シンガポールなどの企業と提携している。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)の2020年9月の報告書によると、国軍のミン・アウン・フライン(Min Aung Hlaing)総司令官がMEHL主要株主の一人として同社から受け取った配当金は、2011年だけで約25万ドル(約2600万円)に上るとみられる。
フランス国際関係研究所(IFRI)アジアセンター代表のフランソワーズ・ニコラ(Francoise Nicolas)氏はAFPに対し、昨年11月の総選挙でスー・チー氏率いる与党・国民民主連盟(NLD)が地滑り的勝利を収めたことを受け、軍部は自分たちの先行きを危惧したのかもしれないと指摘した。「自分たちの富の一部が危険にさらされたために、クーデターに踏み切った可能性が非常に高い」
クーデター後、軍は国営企業を再び支配下に置いた。
軍は現在、仏トタル(Total)および米シェブロン(Chevron)の両石油大手と提携しているミャンマー石油ガス公社(Myanmar Oil and Gas Enterprise)を監督している。天然ガスの売り上げにより、同社は年間、10億ドル(約1000億円)近くを手にしていると報じられている。軍にとってとてつもなく重要な資産だ。
現時点で外国企業では、日本のビール大手キリンホールディングス(Kirin Holdings)とシンガポールを拠点とする石油会社ピューマ・エナジー(Puma Energy)だけが、ミャンマーでの事業見直しを発表している。(c)AFP/Sophie DEVILLER