【3月28日 AFP】コロナ禍で急速に関心が高まった「国外からのリモートワーク」が、今後、新たな利益をもたらすかもしれないと世界中の企業が考えている。

 ポルトガルから米ハワイまで、いわゆる「デジタルノマド」を対象にシェアハウスやワーキングスペースの区画レンタル事業を展開する「Outsite」のエマニュエル・ギセ(Emmanuel Guisset)氏は、「コロナで物事が急速に展開している。かつてニッチだったものが、今では普通になった」と語る。自らの事業にとってはコロナの流行が「跳躍台」になったと言うのだ。

 コロナが流行し始めた最初の数か月は、提供する物件の閉鎖を余儀なくされた。それでも2020年のOutsiteの予約件数は前年比で30%増え、新規利用者も増加した。「状況が元に戻れば、さらに爆発的な伸びを見せるだろう」と予想する。

 注目すべきは、より多くの雇用者らがこうした働き方を受け入れていることで、従業員の滞在を模索する相談は約20社から寄せられているという。こうした動きについてギセ氏は「才能ある従業員をつなぎとめる手段」だと指摘する。

 ニュージャージー工科大学(New Jersey Institute of Technology)のモーリー・コーエン(Maurie Cohen)教授は、この新たなビジネスにとって最も気がかりなのは、こうした柔軟な考え方がコロナ後も続くのかということだと指摘する。

■「つながり」

  ポルトガル・リスボンのOutsiteの物件に昨年秋から滞在しているアンブロワーズ・デブレ(Ambroise Debret)さんは、過去4年間、フリーランスのウェブマーケターとして「デジタルノマド」の夢を追い続けてきたと話す。

 ここでの滞在は、同じ生き方を求める人と知り合うための手段で、「みんなが同僚のような感覚だ」と言う。

 見方によっては、気の向くままに放浪しているようにも見えるデジタルノマドだが、一部専門家は、こうした人々には「ローカルなつながりと共同体への帰属」を欲する向きもあると指摘する。