【2月11日 AFP】英国で農場を営むドット・マッカーシー(Dot McCarthy)さん(32)は冗談半分で、自分が飼育するヤギをオンラインのビデオ会議を盛り上げるための「出席者」として貸し出すことを決めた。しかし、これがロックダウン(都市封鎖)で打撃を受ける農場に、思いも寄らない収入をもたらした。

 英イングランド北西部ランカシャー(Lancashire)にあるクロンクショー・フォールド・ファーム(Cronkshaw Fold Farm)の、ヤギ貸し出しサービスの価格は5分5ポンド(約720円)。ズーム(Zoom)を含むあらゆるビデオ会議プラットフォームに対応している。

「最高位の雌ヤギ」のマーガレットから、茶と白の毛色のかわいらしい子ヤギのルルまで、農場のホームページに掲載された7頭のヤギから選ぶことができる。

「仕事の会議や、家族と長話をしたりしていると少し飽きてくる」とマッカーシーさん。「ビデオ会議にヤギを予約して、同僚が気づくか試してみたらどうだろう」

 ヤギの貸し出しサービスは盛況だという。約1年前に貸し出しを始めて以来の売り上げは、5万ポンド(約720万円)に上る。

「いつものビデオ会議に、ヤギを出席させるいたずらをするという冗談から始まったが、思いのほか盛り上がった」

 クロンクショー・フォールド・ファームは家族経営の小規模農場で、ヒツジとニワトリも飼育している。新型コロナウイルス流行以前は、農場ツアーや牧羊犬のショー、民宿、さらにはヤギ・ヨガ教室などさまざまな事業を行っていた。

 だが、最初のロックダウンが実施された際には、雇ったばかりのパート職員2人を解雇せざるを得ない状況にまで追い込まれた。だが、ビデオ会議へのヤギ貸し出しが人気となり、2人を解雇せずにすんだ。さらに、農村地域にとって重要なことに、地元住民に仕事を提供することもできたとマッカーシーさんは述べた。

 マッカーシーさんは今回の成功について「ヤギのビデオ通話の波」が来たと話すが、決して成功に目がくらんでいるわけではない。

「最初のロックダウンの時から言っているが、これは一時的な流行にすぎないと確信している」と笑った。「でも、人々がヤギを求める限り、ヤギを届け続ける」 (c)AFP