■140万人の少女が15歳未満で結婚

 児童婚はイエメン社会の一面だが、この国を飢餓にまで追い詰めた6年にわたる内戦により、さらに一般化した。それに伴い、女性に対する暴力も「著しく増加した」とイエメン女性ユニオン(Yemeni Women’s Union)のタイシール・ワリド(Tayseer Walid)氏がAFPに述べた。「生活が苦しいため、家族の中で子ども、特に女子にかかる費用を省くことになるのです」

 内戦勃発後、成人女性および少女を擁護する団体の多くが閉鎖した。生き残った団体も法律面、医療面、精神面での莫大(ばくだい)なニーズを満たす資金が不足している。

 2013年に実施された国連(UN)の調査によれば、24~32歳のイエメン人女性のうち3分の1が18歳未満で結婚していた。しかも、9%は15歳未満での結婚だった。

 国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)の推計によると、イエメンで既婚の18歳未満の少女は2020年に約400万人に達している。うち140万人が15歳未満だ。

■ 救いを求める叫び

 また国連人口基金(UNFPA)は2020年の報告で、イエメンでは推計260万人の女性および少女が「ジェンダーに基づく暴力」の危険にさらされていると警告した。

 新型コロナウイルス感染拡大の渦中で、ロックダウン(都市封鎖)が大きな緊張を引き起こし、「DV事例が増加している」と同報告は指摘した。

 反政府武装勢力フーシ派(Huthi)と暫定政府との間で激化する戦闘により数万人が死亡し、数百万人が行き場を失っている。その結果、アラビア半島の最貧国と呼ばれるイエメンで、世界最悪の人道的危機が起きていると国連は指摘。今年は約1600万人が飢えに苦しむと懸念している。

 女性に対する暴力は人道的危機の見えない一面だ。国連開発計画(UNDP)によると、イエメンでは2015年以降、女性および少女に対する暴行が63%増えている。

 UNDPでは対応策の一つとして、日本政府の支援を受け、携帯アプリを通じて被害者を保護支援サービスに案内している。(c)AFP/Mohammed HUWAIS with Mohamed HASNI