【2月5日 AFP】2022年北京冬季五輪の開幕まで、4日であと1年となった。しかし、新型コロナウイルスや新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)における大規模な強制収容などの人権侵害をめぐる懸念が、大会の準備に影を落としている。

 北京大会は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で1年延期された東京五輪のわずか半年後となる2022年2月4日に開幕することになっている。世界が直面している衛生危機がまるで収束の兆しを見せていない中、東京五輪は日本の関係者が開催実現を主張しているのとは裏腹に不透明な状況となっている。

 中国の国営メディアによると、同国では開催に向けた準備に影響はなく、新設会場や改築された2008年夏季五輪の施設も含めて全12か所の競技施設が完成しているという。その一方で、約180の人権団体などは3日、「五輪が悪用され、中国政府によるおぞましい人権侵害や弾圧がエスカレートする」ことがないよう、各国首脳に同大会のボイコットを求めた。

 米上院議員のグループは北京の五輪開催権を剥奪するべきだと訴えているが、ホワイトハウス(White House)は政府の公的立場に何ら変わりはないとしている。

 しかし、12か月後の開幕に向けたカウントダウンは、盛り上がりに欠ける雰囲気で始まったように見える。2008年の夏季大会を1年後に控えた2007年8月の華々しい式典では、北京の天安門広場(Tiananmen Square)に約1万人が詰めかけていた。

 新型ウイルスが最初に出現したとされる中国では、ロックダウン(都市封鎖)や集団検査、渡航制限によって感染拡大がおおむね抑制されているものの、大規模な集会は不可能な状況となっている。

 北京冬季五輪の組織委員会は、無観客での開催を含めて現在続いている衛生危機による大会への影響に関する質問に回答を出していない。国際オリンピック委員会(IOC)はAFPの取材に対して、「来年の北京で直面する可能性があるシナリオを確認している」とコメントした。(c)AFP/Ludovic Ehret, with Peter Stebbings in Shanghai