【2月3日 AFP】フランスで2016年に日本人留学生の黒崎愛海(Narumi Kurosaki)さん(当時21)が行方不明になった事件で、フランスの予審判事は、殺人容疑で同国へ身柄を移送されたチリ人の男に対する裁判を開くことを決定した。仏検察当局が2日、明らかにした。

 フランス東部ブザンソン(Besancon)の大学に留学中だった黒崎さんは2016年12月に行方が分からなくなった。事件で唯一の容疑者となっている元交際相手ニコラス・セペダ(Nicolas Zepeda)容疑者(29)が昨年7月、チリからフランスに移送され、捜査が進められていた。

 ブザンソンのエティエンヌ・マントー(Etienne Manteaux)検事によると、セペダ容疑者は黒崎さん失踪への関与を一貫して否認しており、捜査官らに「彼女がまだ生きていると確信している」とさえ語ったという。

 セペダ容疑者は、2016年12月4日夜に学生寮の黒崎さんの部屋で一緒にいたことは認めており、自分が部屋を出たとき、黒崎さんは元気で生きていたと述べている。

 しかしマントー検事は、容疑者の供述は、電話の通話記録、容疑者が使ったレンタカーの位置情報、クレジットカードの利用控え、さらに目撃者の証言など豊富にある証拠と矛盾すると述べた。寮にいた何人かの学生はその晩、「叫び声」を聞いたと証言しているが、誰も警察に通報しなかった。

 捜査当局は、セペダ容疑者が、嫉妬から黒崎さんを殺害したとみている。

 セペダ容疑者の裁判は今秋にも始まる見込みで、殺人罪で有罪となった場合、終身刑が科される可能性がある。(c)AFP