【1月30日 AFP】欧州連合(EU)は29日、英領北アイルランドへのワクチンの輸出規制を可能にする、英国とのEU離脱協定に盛り込まれた条項を発動しなかったことを明らかにした。条項の発動について、英政府は「重大な懸念」を表明し、アイルランドも反対していた。

 欧州委員会(European Commission)は声明で、「アイルランド/北アイルランド議定書が影響を受けないことを保証する」と表明。EUから北アイルランドへの輸出を規制する条項は発動しないと明言した。

 英国がEUと合意したEU離脱(ブレグジット、Brexit)協定に盛り込まれた北アイルランド議定書は、EU加盟国のアイルランドと英領北アイルランドとの国境で税関検査を行わない自由な物流を認めているが、議定書第16条は、協定が「持続する可能性のある深刻な経済的・社会的・環境的な困難」につながる場合には、一方的に特定の物品の輸出を停止できるとしている。

 EUは、加盟国のワクチン接種を計画通りに進めるための措置だとしていた議定書第16条発動の構えは取り下げたが、欧州の制度をかいくぐるワクチンが出てくれば、「EUの裁量で利用できるあらゆる仕組みの活用を検討する」としている。(c)AFP