■「適切なリスクコミュニケーション」

 海外では広く接種されているHPVワクチンだが、英医学誌「ランセット(The Lancet)」の記事によると、日本でのHPVワクチンの接種率は70%から1%以下まで落ち込んでおり、「専門医としては非常に残念な状況」だと矢野教授は嘆いた。

 現在、日本での大規模な新型コロナウイルスのワクチン無料接種開始まで、少なくとも数週間はある。政府は国民との適切な「リスクコミュニケーション」が必要だと中山教授は考える。

 ワクチン接種率が、医療従事者による明確な説明や責任ある報道に左右されると矢野教授は言う。「100%安全はありえない。そういうのを望まれると、ワクチンも立ち行かないと思う」

 また、メディアは何が「うける」かではなく「何のために報道するのか」考えてほしい、と話した。(c) AFP/Natsuko FUKUE