【1月25日 Xinhua News】医療用素材は高付加価値素材であり、中国市場に流通するハイエンド医療用素材の多くは輸入に頼っている。中国科学技術大学(University Of Science And Technology Of China)の兪書宏(Yu Shuhong)院士(アカデミー会員)率いる研究チームはこのほど、レンコン繊維の切れにくい性質に着目して、その微細構造と力学的性質を研究し、手術の縫合に使用できる新素材を開発した。

 兪氏のチームは、バクテリアセルロースハイドロゲルを原料として、レンコン繊維を模したミクロンらせん構造を持つハイドロゲルファイバーに加工した。検証の結果、この新素材は、高い強度と粘り強さを備え、親水性と生体適合性にも優れていることが分かった。また、バイオニックらせん構造がヒトの皮膚に近い弾性率を提供し、創傷部に力が加わって変形した際にもエネルギーを効果的に緩衝、吸収し、人体組織と同期して変形することで、傷口が開く二次的な損傷を回避できるという。

 従来の綿糸やポリマーの縫合糸と比較して、このハイドロゲルファイバー縫合糸は、高い生体適合性と含水率、低刺激性、低摩擦性などの特徴があり、損傷した組織の保護や創傷治癒の促進、副作用の低減などに優れ、次世代のハイエンド手術用縫合糸となる可能性がある。

 研究成果はこのほど、米化学会の学術誌「Nano Letters」に掲載された。(c)Xinhua News/AFPBB News