【1月17日 AFP】テニスの四大大会(グランドスラム)今季初戦、全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2021)に出場する選手らを乗せたチャーター機2便から、新型コロナウイルスの検査で陽性を示した乗客が出たため、選手47人が今後2週間はコートで練習できず、大会へ向けた準備で大きく後れを取る事態に陥った。

 陽性反応が出たうちの1人は、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ発の便に乗っていたコーチのシルバン・ブリュノー(Sylvain Bruneau)氏で、2019年の全米オープン(US Open Tennis Championships 2019)女王ビアンカ・アンドレスク(Bianca Andreescu、カナダ)を指導する同氏は「検査結果は残念だし、申し訳ない」と話している。

 二つの便の乗客は全員が濃厚接触者とみなされ、14日間の隔離期間中はホテルの自室での待機を命じられた。全豪主催者は、大会に向けて5時間まで認められていたトレーニングもその間は許可できないと話している。

 アブダビ発の便には、アンドレスクの他にアンゲリク・ケルバー(Angelique Kerber、ドイツ)やスベトラナ・クズネツォワ(Svetlana Kuznetsova、ロシア)ら選手23人が乗っていた。

 また地元メディアによると、米ロサンゼルス発の便には元全豪女王のビクトリア・アザレンカ(Victoria Azarenka、ベラルーシ)をはじめ、米国のスローン・スティーブンズ(Sloane Stephens)や錦織圭(Kei Nishikori)ら選手24人が乗っていた。こちらでは乗員と乗客1人ずつから陽性反応が出ており、乗客はコーチだと報じられている。

 ブリュノー氏は出発72時間前の検査では陰性で、「搭乗時も体調は全く問題なかった」という。また、中東滞在中は対策手順に全て従っていたことを強調し、「どこで感染したのか分からない」と話している。

 どちらの便にも乗っておらず、すでにメルボルン入りしているフランスのアリーゼ・コルネ(Alize Cornet)は、ツイッター(Twitter)で現状を「異常」だと話し、「すぐに全豪出場選手の半分が隔離に入らないといけない」とし、「4分の3が空席のフライトから陽性が1人出ただけで何週間分もの練習と頑張りが無駄になる。悲しいけど異常」とコメントした。

 他の選手からは、突然の練習禁止措置に対する不満の声が上がっている。

 女子の世界ランキング12位につけるベリンダ・ベンチッチ(Belinda Bencic)は、「隔離されるのが不満なんじゃない。不満なのは、これだけ重要な大会を前にした練習やプレーの条件に差が生まれること」とつぶやいた。

 同71位のソラナ・シルステア(Sorana Cirstea、ルーマニア)は「1日5時間の隔離免除が約束され、練習やジムの利用、リハビリができるからこそ出場を検討した。それがサインする前の取り決めだったはず。だけどそのルールは『一晩』で変わった!」と投稿している。(c)AFP