【1月6日 AFP】米大統領選の結果を正式に承認する連邦議会上下両院合同会議を翌日に控えた5日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の支持者が首都ワシントンに続々と集まり始めた。その数はすでに数百人に上っている。

 昨年11月の米大統領選での敗北を受け入れていないトランプ氏は、議会がジョー・バイデン(Joe Biden)氏の勝利を承認する投票を行う6日に合わせ、支持者らにワシントンに集結して抗議するよう呼び掛けていた。全米各地から集まった支持者らは口々に、トランプ氏の呼び掛けに応じたと語った。

 5日の正午にはホワイトハウス(White House)に近いフリーダム・プラザ(Freedom Plaza)に少なくとも300人が集まった。ワシントンでは新型コロナウイルス対策でマスクの着用が義務付けられているが、マスクを着けている人はほとんどいなかった。米国で35万5000人以上が死亡している新型ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の深刻さについて、メディアは誇張して報じていると主張する人もいた。

 シアトル(Seattle)から来たという元会計士の女性、デビー・ラスク(Debbie Lusk)さん(66)はAFPに対し、「わが最高司令官に呼ばれ、わが救い主なる神にも来るように言われた」と語った。さらに彼女は、「私たちがこの国を取り戻すか、もはやこの国がなくなるかのどちらかだ」と述べた。

 引退した元販売員の女性、クリス・トーマス(Chris Thomas)さん(69)はAFPに、「私たちは大統領選の結果を信じていない」と語った。トランプ氏の支持者が身に着ける帽子をかぶったトーマスさんは、「米国の自由を信じて」夫と一緒にオレゴン州からやって来た。トランプ氏の経済政策のおかげで、ワインを冷やすグッズを売る息子の商売はうまくいっているという。

 大統領選の選挙人投票の結果承認を行う6日の上下両院合同会議では、マイク・ペンス(Mike Pence)副大統領が進行役を務める。

 この議会による承認は通常なら形式的なものだが、トランプ氏はペンス氏にはバイデン氏支持票を破棄する権限があるという誤った主張をし、バイデン氏勝利の結果を覆すよう、忠実な側近であるペンス氏に圧力をかけてきた。

 トーマスさんは、「ペンス氏がトランプ氏を支援しないなら、本当にびっくりだ」と語った。

 ワシントンに集結したトランプ氏支持者の多くは、バイデン氏の大統領就任式が行われる予定の今月20日を過ぎても、トランプ氏が政権を握り続けることになるどんでん返しを期待している。

 カリフォルニア州から来たというマシュー・ウッズ(Matthew Woods)さん(59)は「トランプ氏は圧勝した。十二分な証拠がある」と主張した。

 同じくカリフォルニア州から来たアンソニー・リマ(Anthony Lima)さんは、ワシントンで何が起こるかを自分の目で確かめたかったから来たと言い、「多くの報道機関は真実を伝えていない」と語った。「ジョー・バイデンとカマラ・ハリス(Kamala Harris)が勝ったという点については受け入れている。私はただ調査をしてほしいだけだ」

 ワシントン中心部の店などは、新型コロナウイルス流行の影響だけではなく、昨年の人種差別に対する抗議デモの際と同様の暴動が繰り返されることを恐れ、シャッターを閉めている。

 ハーバード大学(Harvard University)など米国の一流大学の研究者らが先月行った調査によると、共和党を支持する有権者の半数以上が、トランプ氏が勝ったと信じているか、勝者は分からないと答えている。(c)AFP/Thomas WATKINS