【1月4日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が、ジョージア州での大統領選の結果を覆して民主党のジョー・バイデン(Joe Biden)氏に勝利できる十分な票を「見つける」よう、同州の州務長官に圧力をかけていた会話の録音を米メディアが3日公開し、米政界に衝撃が走っている。

 トランプ氏と、ジョージア州のブラッド・ラフェンスペルガー(Brad Raffensperger)州務長官(共和党)の録音された会話を最初に入手したのは、米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)。この録音には、バイデン氏の勝利を覆すことができなければラフェンスペルガー氏や他の当局者は「大きなリスク」に直面する恐れがあると、トランプ氏が暗に脅すような内容の発言も含まれていた。

 録音の中でトランプ氏は、大統領選の得票数を「再集計したと言っても何の問題もないだろう」と発言。「何十万票もの誤差がある」と指摘した。

 これに対しラフェンスペルガー氏は、「大統領、問題はあなたが持っているデータが誤っているということです」と反論した。

 長年共和党が優勢だったジョージア州で、バイデン氏は1万2000票未満の小差で勝利した。数回にわたる再集計や徹底的な検査を行っても、この結果は変わらなかった。

 トランプ氏は、「現在の票差はたった1万1779票だ。それは分かっているだろう?」とラフェンスペルガー氏に問い掛け、「だから、私は1万1780票を見つけたいだけだ」と述べた。

 さらに驚くべきことは、選挙人団の票が16票あるジョージア州での逆転シナリオですら、306対232で勝利したバイデン氏に逆転勝利することができないということだ。

 公開されたこの録音について、ホワイトハウス(White House)はコメントを拒否。一方で民主党からは怒りの声が上がっている。

 一部の政治コメンテーターらは、この録音をリチャード・ニクソン(Richard Nixon)大統領の辞任に発展した「ウォーターゲート事件(Watergate)」で公開された音声テープになぞらえている。

 当時ニクソン氏を辞任に追い込んだ記者の一人であるカール・バーンスタイン(Carl Bernstein)氏は、今回の音声について、「最大の決定的証拠になる」と述べた。(c)AFP/Brian KNOWLTON / with Elodie Cuzin in Atlanta, Georgia