【1月5日 AFP】イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)でプレーするエディンソン・カヴァーニ(Edinson Cavani)が、ソーシャルメディア上で人種差別的な言葉を使ったとして出場停止処分を科されたことを受けて、同選手の母国ウルグアイのサッカー選手協会(AFU)は4日、イングランドサッカー協会(FA)に対して処分自体が人種差別の規則に違反するものであると激しく抗議した。

 カヴァーニは、自身が2得点を挙げてユナイテッドが3-2で勝利した昨年11月のサウサンプトン(Southampton FC)戦の直後、インスタグラム(Instagram)に投稿された祝福のメッセージに対してスペイン語で小さな黒人を意味する「ネグリト」という言葉を使って感謝した。英国ではこれが軽蔑的な言葉として受け取られることを認識すると、同選手はすぐに投稿を削除して謝罪し、「人種差別には完全に反対」との立場も示した。

 それでも処分が下るのを止めることはできず、カヴァーニはFAから3試合の出場停止処分と罰金10万ポンド(約1400万円)を科された。するとウルグアイでは言語アカデミーが、今回の問題は「文化や言語に関する知識の欠如」が招いたものであるとの見解を示し、FAの処分について「疑問を呈する決定」と怒りをあらわにした。

 AFUは長いコメント文でカヴァーニが投稿したメッセージの真意を受け入れなかったFA自体が差別的であると批判し、「残念ながら今回の制裁を通じて、FAは世界の多様な文化的見解に関して完全に無知で軽視していることをさらした」とすると、「この処分は単に一人の人間だけでなく、全ての文化とわれわれの生き方に対するものであり、まさに差別的かつ人種差別主義の行為である」と主張した。

 フランス・リーグ1のパリ・サンジェルマン(Paris Saint-GermainPSG)でプレーしていた経歴を持つカヴァーニは、すでに処分に従ってユナイテッドが2-1で勝利した1日のアストン・ビラ(Aston Villa)戦を欠場している。

 しかし、AFUは依然として、同選手が人種差別をしたという汚名をすすぐべく処分の撤回を求めており、「エディンソン・カヴァーニに科した処分をFAが即座に撤回し、この非難に値する決定で不当に傷つけられた善良な名前と名誉を世界に向けて回復することを求める」としている。

 AFUの今回の主張には、スペイン1部リーグのアトレティコ・マドリード(Atletico de Madrid)でプレーするウルグアイ代表のFWルイス・スアレス(Luis Suarez)など有名選手も賛同している。同選手自身もプレミアリーグのリバプール(Liverpool FC)在籍時に、人種差別騒動の渦中に置かれた経験がある。(c)AFP