■保釈制度を見直す日本

 ゴーン被告の逃亡を手伝ったとされる米軍特殊部隊の元隊員マイケル・テイラー(Michael Taylor)容疑者と息子のピーター・テイラー(Peter Taylor)容疑者は、米国から日本への身柄引き渡しに抵抗している。

 イスタンブールでは、ゴーン被告の逃亡を助けたプライベートジェット会社のトルコ人従業員らに対する裁判が開始されている。

 一方、逃亡劇は日本でも大きな影響を与え続けている。

 法務省(Ministry of Justice)は日本の保釈制度の見直しを開始して、監視用の電子機器の装着の可能性などを議論し、厳格化を狙っている。

 皮肉なことに、ゴーン被告自身が保釈請求の際、自ら電子ブレスレットを着用することを申し出たが、該当する規則がないとして却下されている。

 日本の司法制度をめぐる論争も起きている。起訴前に自白を得る目的で、容疑者に長時間の拘束を科す「人質司法」が行われているという批判がある。

 検察官は、一つの容疑に対し被疑者を最長23日間勾留することが可能で、この期間に弁護士なしで尋問できる。

 これは被疑者の立場を極めて危うくすると、ゴーン被告弁護団の元メンバー和田恵(Megumi Wada)氏は言う。

 11月になり、国連の「恣意(しい)的な拘禁に関する作業部会(Working Group on Arbitrary Detention)」が、ゴーン被告の日本における逮捕と拘禁は「根本的に不当」と結論。これに対し、日本側は「到底受け入れられることはできない」と反論している。

 ベイルートで比較的静かに暮らすゴーン被告は最近、逃亡後初めての著作を刊行し、自らの正当性を主張している。日産相手のいくつかの訴訟は継続中だ。

 日産が「長年の不正行為と詐欺行為に対する」約100億円の損害をゴーン被告に求める訴訟が11月に日本で始まった。

 フランスでも捜査の対象となっているゴーン被告はオランダで、自分との契約を不法に解除したとして日産と三菱自動車(Mitsubishi Motor)に1500万ユーロ(約19億円)の賠償金の支払いを求めている。また、以前の雇用主であるフランスの自動車会社ルノー(Renault)に対し同様の訴訟を起こしている。(c) AFP/Etienne BALMER