【12月24日 AFP】ロシアの大手メディアグループ「ガスプロム・メディア(Gazprom-Media)」のアレクサンドル・ジャーロフ(Alexander Zharov)最高経営責任者(CEO)は23日、中国発の人気動画投稿アプリ「ティックトック(TikTok)」に類似した独自アプリを2年以内に立ち上げる計画を明らかにした。

 ガスプロム・メディアは、ロシア政府系エネルギー大手ガスプロム(Gazprom)の子会社。ジャーロフ氏は、経済紙コメルサント(Kommersant)に対し、アプリサービス「ヤ・マラジェッツ(Ya Molodets、『私はすごい』の意)」を買収したと語った。

 同氏によると、このアプリはウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の娘とされるカテリーナ・チホノワ(Katerina Tikhonova)氏が運営する組織「インノプラクチカ(Innopraktika)」の支援で開発されたもの。ガスプロム・メディアは、ヤ・マラジェッツのソフトウエアを利用して「ロシアのブロガー向け動画サービスの創設を加速させる」という。

 新アプリは、ティックトックと同様に、短い縦長動画を共有できる仕様になる予定。

 今年ガスプロム・メディアCEOに就任したジャーロフ氏は、それまでロシアの通信規制当局である連邦通信・情報技術・マスコミ監督庁(ロスコムナゾール、 Roskomnadzor)の長官を務めていた。ロスコムナゾールは以前、暗号化メッセージアプリ「テレグラム(Telegram)」の遮断に失敗している。

 ガスプロム・メディアは複数の人気テレビ局や多くのラジオ局を所有している。ジャーロフ氏は今月、動画共有サイト「ユーチューブ(YouTube)」に類似したウェブサイト2つを今後2年以内に立ち上げることも発表。うち1つは、2008年にガスプロム・メディアが買収したロシア語話者向けストリーミングサービス「ルーチューブ(Rutube)」の改良版だと述べていた。

 ロシアでは近年、若者のユーチューブ人気が高まっており、政府の管理下にある主要メディアでは報じられないニュースを伝える独立系情報源となりつつある。ロシア議会下院は23日、ユーチューブなどのオンラインプラットフォームが「検閲」や「差別」を行っているとみなされた場合にアクセスを遮断できる法案を可決した。(c)AFP