【12月22日 AFP】男子テニスのロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)は、2020年シーズンのほとんどを棒に振って自身が持つ四大大会(グランドスラム)歴代1位の通算20勝にラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)が肩を並べるのを見守ることになったが、2021年に40歳の誕生日を迎えようとしている中で、長引く故障に不安がありながらも唯一逃している五輪のシングルス金メダル獲得を見据えている。

 今年のフェデラーは準決勝で敗退した全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2020)の1大会だけに出場し、その後は膝の手術に踏み切って戦線を離脱した。さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)が発生してシーズンが5か月間中断され、得意としているウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2020)も中止されたことから、シーズン断念を余儀なくされた。

 1998年からツアーに参戦し、来年に延期された東京五輪の男子シングルス決勝が終わる1週間後の来年8月8日に40歳になるフェデラーは、「大きな計画としては五輪に出場すること。それが大きな目標の一つだ」とすると、「少し身勝手かもしれないが、今年起きた問題のおかげで延期になったのは悪いことではなかった」と話した。

 フェデラーはこれまで五輪でシングルスのタイトルを一つも獲得していないが、ダブルスでは同胞のスタン・ワウリンカ(Stan Wawrinka)とペアを組んで2008年の北京五輪で優勝している。

 今年10月に延期された全仏オープンテニス(French Open 2020)で通算13回目の大会制覇を成し遂げた34歳のナダルは、ライバルであり親友でもあるフェデラーについて、依然として強敵であることに何の疑問も持っておらず、「彼はこれ以上何も証明するものはない。体調が万全なときには常に最高レベルでプレーできることをすでに示している」と話していた。

 フェデラーには別の目標もある。男子シングルスのタイトル獲得数で通算103勝を挙げている同選手は、ジミー・コナーズ(Jimmy Connors)氏が持つ歴代最多の通算109勝までわずか六つに迫っている。また、2021年にグランドスラムのタイトルも獲得すれば、史上最年長でのメジャー優勝者となる。

 現在その名誉を保持しているのは、1972年に37歳2か月で全豪オープンを制したケン・ローズウォール(Ken Rosewall)氏となっている。フェデラーがその記録を破るとすれば、可能性が最も高いのはこれまで8回の優勝経験を誇るウィンブルドンになるとみられている。

 コロナ禍が影を落として開幕が遅れる2021年の全豪オープンでは、現世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)が通算9回目の優勝を果たすと大勢が予想している。

 フェデラーは2度メスを入れた膝の回復が思ったより長引いており、メルボルンで開催されるグランドスラム初戦の全豪オープンに出場するのは時期尚早の可能性があると認め、「時間との闘いだ。もちろん、もう少し時間があれば助けになる。だがぎりぎりになるだろう」とし、「10月の時点で100パーセントの状態になっていることを期待していたが、きょう(取材は12月上旬)になってもそのレベルにない。全豪オープンに向けてはぎりぎりの判断になるだろう」と話していた。

 一方、ローラン・ギャロス(Roland Garros、全仏オープン)では、大会通算100勝を記録して15年間の出場で2度しか負けていないナダルが再び優勝候補の筆頭に挙げられるとみられる。フェデラーは全米オープンテニス(US Open Tennis Championships)で通算5度の優勝を果たしているが、そのタイトル獲得は2008年が最後となっている。(c)AFP/Dave JAMES