タイ「海の民」 コロナ禍の観光客激減で一息
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■再考の呼び掛け
タイ・チュラロンコン大学(Chulalongkorn University)の人類学者ナルモン・アルノタイ(Narumon Arunotai)氏は、政府が「パンデミックによって得られたこの機会に、チャオレーの人々の将来像について再考する必要がある」と指摘する。
「新型コロナの流行は、考え方を変える一つの機会だ。プーケットに観光客が大挙して押しかけることで、海の民にとっては破壊的な状況がもたらされている」と、ナルモン氏は続けた。
一つの選択肢は、当局が土地を購入し、チャオレーに恒久的に委譲することだ。
政府は最近、マングローブが自生する地域を隣接するチャオレーの村に付与し、当面の生活と漁を行う場として利用できるようにした。これは最初の一歩だが、永続的な解決策にはならない。
チャオレーには特異な才能と伝承があり、生きていく上で大きな助けとなっている。
2003年の研究によると、チャオレーの三つの分派集団のうちの一つ、モーケン(Moken)の子どもたちは、欧州の同年代に比べて海中での視力が1.5倍高いという。
さらに、周囲の環境を深く理解していることにより、チャオレーの人々の多くが、2004年に発生した壊滅的な津波の危険信号を察知して避難することができた。
チャオレーの大半が難を逃れただけでなく、多くの観光客を助けて安全な場所に避難させた。
「私たちは、これからもずっと海の子どもたちなのです」と、チャオレーのサナンさんのおじ、アリムさんはほほ笑む。(c)AFP/Thanaporn PROMYAMYAI et Sophie DEVILLER