【12月12日 AFP】米製薬大手ファイザー(Pfizer)と独製薬ベンチャーのビオンテック(BioNTech)が開発したワクチンをめぐり、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米政権が食品医薬品局(FDA)の長官に対し、11日中に承認するよう求め、承認しなければ辞任するよう迫ったと、米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)が報じた。

 この報道と同じ日に、トランプ氏はツイッター(Twitter)への投稿で、FDAを「大きくて年老いた、のろまなカメ」と呼び、スティーブン・ハーン(Stephen Hahn)長官に対し「今すぐこのワクチンを出せ」と求めていた。

 10日に開かれたFDAの諮問委員会が賛成17、反対4、棄権1でこのワクチンの緊急使用を勧告し、FDAが数日中に正式な認可を出す見通しとなっていた。

 報道に先立ち、アレックス・アザー(Alex Azar)米厚生長官は、ファイザーとビオンテックのワクチン接種を14日までに米国で開始できるとの見方を示していた。

 このワクチンをめぐってFDAの諮問委員会は10日、16歳以上を対象に1人2回ずつ接種することについて緊急使用を認める判断を下しており、その後アザー氏は、最終的な詳細は調整中だと報道機関に語った。

 トランプ政権による圧力は、科学的なワクチン承認のプロセスに再び政治介入をちらつかせるものだ。FDAはファイザーとの間で、ワクチンに関する医師向けの添付文書などの最終的な詳細を詰めているところだ。

 FDAは、過去に深刻なアレルギー反応があった人に対し、当分の間は接種を控えるよう警告を表示する方針を示している。

 11日の時点では、ワクチン接種に必要な器具などが国内各地に輸送されている最中で、緊急使用許可が1日あるいは2日早まったところで、ワクチン接種開始が早まるのかどうかは不明。(c)AFP