【12月12日 AFP】世界各地で進む新型コロナウイルスワクチンの開発競争では11日、ワクチン候補2種で計画の遅延や開発中止が相次ぎ、接種開始に向けた取り組みが後退する結果となった。

 新型コロナウイルスは現在、北米と一部アフリカ地域で感染拡大が加速する一方、欧州では拡大ペースが安定し、アジアと中東では減少に転じている。

 製薬大手の仏サノフィ(Sanofi)と英グラクソ・スミスクライン(GSK)は11日、両社が共同開発するワクチンについて、最新の試験で高齢者での免疫反応が低い結果となったことから、提供開始の予定時期を2021年半ばから同年末に延期すると発表。

 さらにオーストラリアでは、クイーンズランド大学(University of Queensland)が開発を進めるワクチンの治験の第1相試験に参加していた人がエイズウイルス(HIV)検査で偽陽性を示したことから、同ワクチンの開発が中止された。このワクチンには少量のHIVタンパク質が使用されており、それにより誘発された抗体反応がHIV検査に影響した可能性がある。

 一方、このほかのワクチンの供給計画は急速に進展している。米国では、米製薬大手ファイザー(Pfizer)と独製薬ベンチャーのビオンテック(BioNTech)のワクチンについて、食品医薬品局(FDA)の諮問委員会が承認を勧告。これを受けFDAは数日以内に正式な認可を出す見通しだ。(c)AFP