【12月12日 AFP】新型コロナウイルス感染症の重症化につながる遺伝的変異を特定したとする論文が11日、英科学誌ネイチャー(Nature)で発表された。患者の救命に役立つ既存薬の特定や新薬の開発を大きく前進させる可能性のある研究結果だ。

 英エディンバラ大学(University of Edinburgh)の遺伝学者ケネス・ベイリー(Kenneth Baillie)氏が率いる研究チームは、一部の感染者が重症の肺炎症を起こす原因を特定するため、英国の重症患者2000人超のゲノム変異を解析し、その多くが持つ配列を8つ特定。さらなるコンピューター解析で、炎症性タンパク質の遺伝子である「TYK2」と「CCR2」に的を絞り込んだ。

 論文の筆頭著者で英エディンバラ大学(University of Edinburgh)の遺伝学者のケネス・ベイリー(Kenneth Baillie)氏は、TYK2の活性化を抑える医薬品はすでに複数存在していると説明。これらはJAK阻害薬として知られ、がんや関節リウマチなどの慢性疾患の治療薬として処方されることが多い。

 研究チームはさらに、免疫反応に関与するCCR2タンパク質を阻害する抗体治療も現在、臨床試験(治験)が進められていると指摘。新型ウイルス感染症の重症患者に対するこれらの治療方法の有効性を調べる治験を緊急に実施すべきだとしている。(c)AFP