【12月13日 東方新報】中国の広州(Guangzhou)税関によると、最近、海外からの輸入宅配便から絶滅危惧種の爬虫(はちゅう)類の皮を使った革靴2足が押収され、密輸品として処理された。広州白雲空港(Guangzhou Baiyun International Airport)の税関で発見されたもので、香港発の個人向け宅配便だった。華南野生動植物鑑定センターによれば、ワニ目のなめし皮製品であり、中国野生動物保護法、国家重点保護野生動物リスト、ワシントン条約(CITES)などの規定で、ワニ目の動物は国家二級以上の重点保護野生動物に指定されている。

 このほか、センザンコウのうろこ140グラム、タツノオトシゴ製品225グラム、ミズオオトカゲの肝製品70グラムなども最近押収された。これらは中国人男性旅行客のスーツケースのX線検査で発見された。スーツケースを挙げると「スナック菓子」と書かれた袋が見つかり、中を開けると、漢方薬剤に使われるとみられる希少動物の乾燥製品が見つかり、華南野生動植物鑑定センターの鑑定に回された。

 ミズオオトカゲは絶滅危惧種の国家一級重点保護動物であり、タツノオトシゴ(オオウミウマ)も国家二級重点保護野生動物、マレーシアセンザンコウは、CITESの1類に分類する保護動物だ。

 最近、こうした希少な野生動植物に関する産品が、宅配や郵便物、あるいは旅行者の携帯品として違法の輸出入されている例が発覚しており、税関当局がこうした希少動物製品の購買、輸出入が刑事犯罪に当たることを改めて警告している。

 税関総署が11月2日に発表した今年1〜9月の密輸摘発件数は3122件で、前年同期比で9.7%減少。その中で、絶滅危惧種野生動物関連の密輸事件の大規模化が目立っている。4月17日に展開されたNJ-417絶滅危惧野生動物密輸事件専門捜査摘発アクションにおいては、9人の容疑者が逮捕され、およそ413キロの象牙製品や、28キロのサイの角製品などが押収された。

 また7月26日には、「つばめの巣」の密輸犯罪組織8団体が摘発され24人が逮捕されたほか、1.7トンのつばめの巣が押収された。この密輸組織は、親戚血縁者で構成された家族型犯罪組織で、海外で購入したつばめの巣を税関の設置されていない国境を越えて、累計101トン10億元(約159億円)相当のつばめの巣を中国に持ち込んでいたという。

 こうした野生動物関連製品の密輸は香港が中継点となっているとみられている。フランス通信(AFP)によれば、動物虐待防止協会のフィオナ・ウッドハウス(Fiona Woodhouse)氏らの2年間にわたる調査で、100億円規模の密輸に対する当局の対応の不備が浮き彫りになったという。調査では、香港の税関当局は過去7年間で象牙22トン、センザンコウ70トン、絶滅の危機にあるその他の動物66トンを押収。その価値は合わせて7億6700万香港ドル(約102億円)以上に相当することが明らかにされている。香港の処罰は他国と比べて「寛大で、刑務所に収容されることはまれであり、大半の違反者には密輸品の価値、10パーセント未満の罰金が科された」と指摘されており、香港の法整備の不備が背景にありそうだ。 (c)東方新報/AFPBB News