【7月25日 東方新報】相撲をとらせたり、鳴き声を楽しんだりするためにコオロギなどを飼育する文化がある中国だが、近年はアリの飼育がひそやかに広がっている。これを受けて、海外から大型アリの「密輸」が山東省(Shandong)青島市(Qingdao)、浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)、広東省(Guangdong)広州市(Guangzhou)などの税関で最近、相次いで発覚している。

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 中国では、生きた昆虫を検疫を受けずに海外から国内に持ち込むことも、許可なく飼育することも禁じられている。海外のペットアリを中国で飼育したい場合、野生動物保護法の規定に従い、国務院の野生動物保護主管部門の批准を得て、関連の輸出入証明書を取得したのち、税関の検疫検査を受けなければならない。野生動物・昆虫のネット上での売買、譲渡も同法で禁止されており、販売者も購入者も法的責任が問われる。

 しかし、杭州では6月25日、オーストラリアからの郵便物の中に、10匹前後のアリが入った2本の試験管を梱包していた小包がX線検査で発見された。試験管ごとに異なる種類のアリと卵が入れられていた。

 6月27日には、青島郵便局の税関職員が、やはりオーストラリアからの郵便物の中からアリ12匹と卵10個を発見。アリの内訳はジャイアント・ブルアント2匹、イリドミラメックス・プルプルエウスと呼ばれる肉アリ10匹で、いずれも大型で攻撃性が強く、「アリマニア」の間では人気の高い種類だ。広州の税関でも、生きたアリが入った荷物が見つかった。

 国内では最近、堂々と密輸入アリを販売するペットショップもある。海外にはアリマニア同士が集うサイトがあり、ここで手持ちのアリを交換したり、売買したりしているという。価格は、1匹の女王アリと6~10匹の働きアリをセットにして100元(約1570円)ほどから1万元(約15万7000円)を超えるものまでさまざまだ。

 こうしたペット用のアリには、大型で攻撃的な上、毒を持つものもいて、飼育中にかまれるとひどい炎症を起こしたり、アナフィラキシーショックを引き起こしたりする場合もある。万が一、アリを逃がせば、他人を傷つける可能性もあり、また、現地の生態系に悪影響を与えることもあると警告されている。(c)東方新報/AFPBB News