【12月8日 AFP】インドの首都ニューデリーへと続く主要高速道路は今、コイル状の有刺鉄線とトラックで封鎖されている。その向こうでは、政府の農業改革に反対する多数の農民が冬の厳しい寒さの中、野営を続けている。

　農民らは、農業新法が自分たちの生活を破壊すると危惧している。

　干し草やマットレス、毛布がトラクターやトラックの中だけではなく道にも敷かれており、農民らはここに寝泊まりしている。トレーラーには半年分の食料が積み込まれている。これらはナレンドラ・モディ（Narendra Modi）政権が新法を撤回するまで、この場にとどまるという農民らの固い決意を示している。

　インドの主要農業地帯である北部パンジャブ（Punjab）州ルディヤーナー（Ludhiana）で農業を営むサンディープ・シン（Sandeep Singh）さん（65）はAFPに対し、「新法は農家にとっては死刑宣告にも等しい」と語った。

　モディ政権は新法には、農業関連の規制を撤廃し、州の管轄下にある中間取引業者を排除することにより、厳しい状態が続く農業の立て直しを図る目的があるとしている。

　これまで農作物は、最低価格が保証された州が運営する市場で販売することが義務付けられていたが、新法では、農家らはスーパーマーケットのチェーンなど市場で自由に自らが生産した作物を販売できる。

　これに対し農家らは、新法は大企業に有利で、市場が乗っ取られ、値下げが強要されると主張している。

　一方、政府は、農業の長期的な発展のためには改革が必要だとしている。これまで当局と農家らは5回にわたり協議を行ったが、不調に終わった。

　農家らは先月26日、パンジャブ州からニューデリーに向かってデモ行進を開始。警察と衝突したため、高速道路にバリケートが築かれた。

　抗議デモの参加者は数万人に膨れ上がっている。その多くは初期から参加するシンさんと同じシーク教徒だ。