【12月7日 AFP】米国で新型コロナウイルスの1日の死者数が急増する中、米保健当局は6日、マスクの着用を拒む米国人が多いことについて懸念を示し着用を改めて訴えた。ワクチンの接種開始が数週間後と見込まれる中、特に移動者が増える年末を控え、当局は誤った思い込みに対し警鐘を鳴らした。

 ホワイトハウス(White House)の新型コロナウイルス対策顧問、デボラ・バークス(Deborah Birx)氏は米NBCテレビの番組「ミート・ザ・プレス(Meet the Press)」で、人々が「マスクに効果はない、(中略)集まりはスーパー・スプレッディング(超拡散)現象を引き起こさないとオウム返しする」のを聞くのは「いらだたしい」と言明。その上で「これは公衆衛生上の最悪の出来事というだけではない。これはこの国がこの先、直面する最悪の出来事だ」と指摘し、「ワクチンは決定的だ」としながらも「現在のこの(感染者)急増から私たちを救うものではない」と述べた。

 アレックス・アザー(Alex Azar)米厚生長官は同日、米製薬大手ファイザー(Pfizer)とモデルナ(Moderna)のワクチンについて、米食品医薬品局(FDA)が今週承認するとの見立てに基づき、年末までに2000万人に接種するとの政府による見通しについて認めた。一方、専門家は、多くの米国人がマスク着用やソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)、大勢の人が集まる場所の回避といった指針を無視し続けることに怒りを示した。

 FDAのスコット・ゴットリーブ(Scott Gottlieb)元長官は同日、米CBSテレビの番組「フェイス・ザ・ネーション(Face the Nation)」で、現在28万人余りの米国の新型ウイルスの死者数が、来年1月下旬までに40万人に達する可能性があると予測。「次の6週間は厳しい状況になる」とし、人々に「本当に自分自身を守る必要がある」と呼び掛けた。

 米国の新型ウイルスの死者数と感染者数は記録的な水準に達しており、テレビでは新型ウイルス患者であふれた病棟で、取り乱した看護師が涙をこらえて働く様子などが報じられている。(c)AFP/Brian KNOWLTON