【11月23日 AFP】米政府保健当局の高官は22日、米国で新型コロナウイルスのワクチン接種を12月11日にも開始できるとの見方を示した。承認後24時間以内にワクチンを輸送できるようにする計画だという。

 米政府のワクチン開発を指揮するモンセフ・スラウイ(Moncef Slaoui)氏は米CNNに対し、米食品医薬品局(FDA)による「承認から24時間以内にワクチンを接種場所に運べるようにする計画」だと明言。12月11日ないし12日にも接種を始められる可能性があるとした。報道によると、FDAのワクチン諮問委員会はワクチンを承認するかを議論する会合を12月10日に開く見通し。スラウイ氏は12月中に全米の2000万人がワクチンを接種する可能性があるとし、それ以降は1か月ごとに3000万人が接種できるとの見方を示した。一方、FDAは21日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が投与を受けた新型ウイルスの抗体治療薬に緊急使用許可を与えた。

 感染者数の急増により各国で制限措置やロックダウン(都市封鎖)が再導入される中、新型ウイルスのワクチンに関する相次ぐ朗報に、パンデミック(世界的な大流行)収束への期待が高まっている。制限措置は今年初めに感染拡大ペースを抑えたものの、世界中の人々の暮らしや経済を根底から覆すこととなった。

 米国では米製薬大手ファイザー(Pfizer)とドイツの製薬ベンチャー、ビオンテック(BioNTech)が共同開発するワクチン候補と、米製薬大手モデルナ(Moderna)が開発する候補が有力とされており、両候補とも95%の有効性を示している。ファイザーはすでに米保健当局にワクチンの緊急使用許可を申請した。ワクチンをめぐっては、20か国・地域(G20)各国から、ワクチン接種で途上国が取り残される懸念から、ワクチンを全世界で「公平に」入手できるよう求める声が上がっている。

 新型ウイルスの感染者数が世界最多の1200万人を超える米国は来週、感謝祭(Thanksgiving)の祝日を迎える。多くの人は、保健当局による自宅待機の呼び掛けにもかかわらず、空港に足を運んだ。(c)AFP/AFP bureaus