【11月17日 東方新報】輸入に特化した中国最大規模の総合見本市「第3回中国国際輸入博覧会(China International Import Expo)」が5~10日、上海市で開かれた。新型コロナウイルス流行後、中国で開催された最大規模の国際経済貿易イベントだ。コロナ禍で世界経済が低迷する中、中国が新型コロナを克服し、「広大な14億人の市場が世界の企業を歓迎している」とアピールする役割を担った。

 国際輸入博は、2017年5月に行われた一帯一路(Belt and Road)・国際協力サミットフォーラムで習近平(Xi Jinping)国家主席が開催を発表し、2018年から始まった。第2回の昨年は世界181か国・地域から3800社が出展し、来場バイヤー数は50万人以上、全体の成約見込み額は711.3億ドル(約7兆4388億円)に達した。第1回、2回とも日本が国・地域別で最多の企業が出展している。

 第3回となる今年は新型コロナによる渡航制限がある中、最新のデジタル技術やオンライン商談ツールを最大限に活用。各国企業が自国にいながら商談機会を探った。会場の総展示面積も前回より3万平方メートル広い約36万平方メートルを誇り、40万人近いバイヤーが来場。インテリジェント機器、電子製品、自動車、服飾・日用品、食品・農産品、医療機器・医薬保健などの分野で、世界初公開やアジア初公開の製品が数多く展示された。成約見込み額は前回比2.1%増の726.2億ドル(約7兆5946億円)に達し、新型コロナの影響をものともしない盛況ぶりだった。

 今回の開幕式で、習近平国家主席が「中国市場を世界共有の市場、皆のための市場にしなければならない」とスピーチしたことが、今回の輸入博の「使命」を物語っている。全世界の企業を相手にした国際経済貿易イベントを開催できる「実力」を見せつけ、中国が新型コロナの抑制に成功したことを広くアピールする場となった。また、「アメリカ・ファースト」を強調して保護主義の色彩が強くしている米国に対し、中国はあくまで相互主義に基づく自由貿易、多国間貿易を推進する姿勢を示すことにもつながっている。長引く米中対立で米国から中国への輸入が滞る中、さまざまな輸入ルートの開拓も必要となっている。

 また、中国は新たな国家経済戦略として、内需の拡大という「国内大循環」と、海外から技術や投資を呼び込む「国際循環」を連結した「双循環」を打ち出している。この構想に基づき、中国市場がグローバル経済の新技術や新製品の試験場となることを求めている。新しい自由貿易試験区の建設、外資導入の特別措置、デジタル経済やインターネット分野での継続的な開放、貿易と投資の自由化の促進、国境を越えた電子商取引などを通じ、あらゆる角度から世界経済との結び付きを強化しようとしている。

 コロナ禍や米中対立という激動の時代の中、中国が国際社会への影響力を高めるためには、多国間貿易の枠組みを維持し、自国の市場を開放して自由貿易の秩序を守る姿勢を示す必要がある。国際輸入博は、その一つの象徴の役割を果たしている。(c)東方新報/AFPBB News