【11月13日 AFP】国際人権団体のアムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は12日、エチオピア北部ティグレ(Tigray)州で民間人が多数殺害される「大虐殺」があったと報告した。目撃者らは、連邦政府と戦闘状態にある州政府与党「ティグレ人民解放戦線(TPLF)」を支持する勢力の犯行だと非難している。

 昨年ノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)を受賞したアビー・アハメド(Abiy Ahmed)首相の連邦政府とTPLFの軍事衝突が始まって1週間がたつが、多数の民間人の犠牲が報告されたのは初めて。

 アムネスティの報告書によると、「ティグレ州南西部マイカドラ(Mai-Kadra)で9日夜、多くの人が刺されたり、切り付けられたりして死亡したことを確認した」。犠牲者は「数百人に上るとみられ」、目撃者の証言によれば凶器はナイフやなたなどの鋭利な刃物だったという。

 アムネスティは、「町のあちらこちらに散乱した遺体や、担架で運ばれる遺体を撮影した凄惨(せいさん)な写真や動画をデジタル検証した」としている。

 複数の目撃者が、エチオピア軍との戦闘に敗北したTPLF側の部隊による襲撃だと証言しているが、アムネスティは虐殺を行った勢力の特定はできていないと述べている。

 4日にアビー氏がティグレ州での軍事作戦を命じて以降、州内では通信が遮断されている。

 アビー氏は12日、政府軍がティグレ州西部を「解放した」とフェイスブック(Facebook)に投稿した。当局者は、これまでに数百人が死亡したと発表しており、アフリカ第2の人口規模を誇るエチオピアで流血の内戦が長期化する恐れを専門家は指摘している。(c)AFP/Robbie COREY-BOULET