【11月6日 AFP】エチオピアの連邦政府軍は5日、北部ティグレ(Tigray)州政府与党と「戦争」に突入したと発表した。戦闘は2日目に入り、報道によると州境に部隊が集結している。両勢力は互いを激しく非難しており、アフリカ第2の人口規模を誇る国で内戦が起きる恐れが高まっている。

 これに先立ち、昨年ノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)を受賞したアビー・アハメド(Abiy Ahmed)首相は4日、ティグレ州の与党「ティグレ人民解放戦線(TPLF)」が同州の連邦政府軍拠点を「攻撃」したとして、軍に反撃を命じていた。

 陸軍のベルハヌ・ジュラ(Berhanu Jula)副参謀総長は首都アディスアベバで会見し、「わが国は予想しなかった戦争に突入した。この戦争は恥ずべきものであり、無分別だ」「戦闘が国の中央に拡大しないよう尽力している。ティグレ州だけで終わらせる」と述べた。

 TPLF側は軍拠点への攻撃などしていないと主張し、ティグレ州への軍派遣を正当化するためアビー首相がでっち上げた疑惑だと非難している。

 アビー氏は2018年、反政府運動の盛り上がりに後押しされて首相に就任した。それまで約30年間にわたりエチオピア政界を支配してきたTPLFは、アビー政権下でティグレの指導者らが不当な汚職捜査の標的にされ、政治の中枢から排除され、さまざまな国内問題の責任を押し付けられたと主張し、連邦政府と対立していた。

 アディスアベバの外交筋は、両勢力に犠牲者が出ているとみているが、当局から発表はない。ティグレ州ではインターネットや電話回線が2日にわたって遮断されており、犠牲者数の確認は困難な状況だ。

 エチオピア議会は5日、アビー政権が前日宣言したティグレ州における半年間の非常事態を満場一致で承認した。エチオピア憲法では、連邦政府は非常事態宣言下で「国家の平和と主権を守るために必要なあらゆる権限」を保持し、「政治的権利と民主主義的権利」を部分的に停止できると定めている。(c)AFP/Robbie COREY-BOULET