■コロナで加速、1.6兆円規模の産業に

 片付けチームを率いるユー・ジキン(Yu Ziqin)氏は、「留存道(Liucundao)」と呼ばれるホームオーガナイズの学校を卒業した数千人のうちの一人だ。この学校では、中国の裕福な消費者の混沌(こんとん)とした状況に、秩序をもたらすすべを教えている。

 同校創立者のビアン・リチュン(Bian Lichun)氏によると、ホームオーガナイズという新興産業には現在3000人以上の専門家がいる。国営・中国中央テレビ(CCTV)の予想では、今年の市場規模は1000億元(約1兆6000億円)に達するという。

 ビアン氏によると、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)によって、自宅からインターネットで通販サイトを物色したり、新しく手に入れたものをどこに置くか考えたりする時間が増えた。その結果、ホームオーガナイズ・ビジネスは数倍に拡大した。

 家の片付けといえば、世界の何百万という人々が日本の第一人者、近藤麻理恵(Marie Kondo)氏に触発されている。だが、ビアン氏のチームは近藤氏のアドバイスとは異なり、顧客に対して物を捨てるよう説得したり、買い物を減らすよう勧めたりすることはない。

 むしろ顧客には、例えば極薄のコートハンガーのような気の利いたデザインの収納具やストッカーを活用し、「物を持ち続ける方法」を教えている。「世界には無用な物などありません」とビアン氏は語った。(c)AFP/Ye QIAN / Helen ROXBURGH