【11月10日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)で来季初開催予定のベトナムGP(Vietnam Grand Prix)が、レースのカギを握る重要人物の逮捕を受けて2021年のカレンダーから脱落したと報じられたことについて、情報筋は10日、同GPが「開催されない可能性がある」と明らかにした。

 今回の臆測が浮上したのは、レースの主要な支援者でハノイ市人民委員会(Hanoi Municipal People's Committee)主席を務めるグエン・ダク・チュン(Nguyen Duc Chung)容疑者が、汚職の疑いで8月に逮捕されたことを受けてのもの。レース関係者は匿名を条件にしたAFPの取材に対し、「チュン氏がいなければ、ハノイでのレースの未来は薄暗い。開催されない可能性がある」と語った。

 当初今年4月に予定されていたベトナムGPは、新型コロナウイルスの影響で延期された後に中止が決定。同GPが遅れて来年にデビューを果たすかどうか、ベトナム当局からは何も言及されていない。

 計22レースが組まれている2021年のスケジュールはこの日発表されることになっているが、英BBCの報道によれば、ベトナムGP決勝が予定されている4月25日は空白になっているという。

 今回の件は、チュン容疑者が「国家機密文書を私物化」して逮捕されたことによるものとされており、容疑はGPとは無関係となっている。

 東南アジアの社会主義国であるベトナムは、2018年にF1と10年契約を結び、国営メディアは同国の支出が年間6000万ドル(約62億6000万円)に上る見通しであると伝えた。費用は民間コングロマリットのビングループ(VinGroup)が全面的に負担し、市街地コースでのナイトレースで観客を楽しませたいとしている。

 F1という華々しい競技と契約を結ぶことによって、ベトナムはシンガポールが成し遂げたように、国の経済成長を反映すると同時にハノイの堅苦しいイメージを変えていきたいとしている。(c)AFP