【11月10日 AFP】米製薬大手ファイザー(Pfizer)は9日、開発中の新型コロナウイルスワクチンについて、4万人以上が参加した第3相臨床試験(治験)で90%の有効性が示されたと発表した。これを受けて米株式市場は急上昇。各国で取られている厳格な移動制限措置の終了につながるとの期待が高まっている。

 ワクチンは、ファイザーが独ビオンテック(BioNTech)と共同で開発。この他に現在、40を超えるワクチン候補が存在するが、有効性について同様の結果を出せた候補はこれまでなかった。ファイザーは今回の治験結果について、コロナワクチン開発での「重要な節目」となるものだと説明している。

 両社は、米国での提供開始に向けた最後の関門は今月中に通過し、年内に世界で最大5000万回分、来年に最大13億回分を供給できるとの見通しを示している。欧州連合(EU)は、ワクチン3億回分の供給で両社と近く契約を交わす見込みであることを明らかにした。

 9日の米株式市場は、米大統領選挙で週末に民主党候補のジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領が当選確実となったことを受けすでに上昇していたが、ワクチンの報道を受けてさらに急騰した。

 科学界も発表を歓迎。米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)所長は治験結果を「素晴らしい」と評し、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長も「心強い」結果だと称賛した。

 一方、治験参加者の年齢が開示されていないことを指摘する声も出ている。英エディンバラ大学(University of Edinburgh)のエレノア・ライリー(Eleanor Riley)教授(免疫学・感染学)は、「ワクチンが重症者と死者を減らし、全ての人々が普通の日常生活に戻れるようにするには、高齢者に対し効果がなければならない」と述べた。(c)AFP