【10月28日 AFP】新型コロナウイルスに関する誤った情報を信じ、その結果、予防接種に消極的になる可能性のある人々が3割に上る国が複数あることが、英学術誌に掲載された研究で明らかになった。

 この状況では、ワクチンを開発しただけでは、コロナウイルスと闘うには十分ではない恐れがあると、研究に参加した科学者らは警告している。

 英学術誌「ロイヤルソサエティー・オープンサイエンス(Royal Society Open Science)」に14日掲載された研究によると、大多数の人は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する陰謀論を信じていなかったが、作り話のうちいくつかは人口の「かなりの層」に根付いていることが分かった。調査は英国とオランダの研究者らが、英国、米国、アイルランド、メキシコ、スペインの5か国で実施した。

 世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)には有害なインフォデミック(正誤入り交じった過剰な情報拡散)がつきまとっており、これによって誤った情報をはねのけることが難しくなっていると警告している。

 調査によると、回答者が最も信じていた陰謀論は、新型コロナウイルスは最初に流行が始まった中国・武漢(Wuhan)の研究所で故意に作製されたという説だった。この主張を「信用できる」と判断した回答者は、米国と英国では22~23%、メキシコでは33%、スペインでは37%だった。

 また第5世代(5G)移動通信網が、COVID-19の症状を悪化させるというデマを信用できるとみなす回答者は、メキシコとスペインでそれぞれ16%、アイルランドで12%、米国と英国ではそれぞれ8%だった。

 論文の共著者で、英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)社会的意思決定研究所(Social Decision-Making Lab)のサンダー・ファンデルリンデン(Sander van der Linden)所長は、新型ウイルス関連の陰謀論を信じていることと、将来的にワクチン接種を忌避する態度には「明確な関連」があることが判明したと述べている。