【11月13日 AFP】森での暮らしが自然な姿であるはずのサルたちが、ジャングルの音よりも車の行き交う道路の騒音を「著しく」好むことが、フィンランドの動物園で行われた実験で明らかになった。

 研究チームは、テクノロジーの活用によって飼育下での動物福祉をどのように向上できるかを調べる実験の一環として、首都ヘルシンキのコルケアサーリ動物園(Korkeasaari Zoo)で南米北部原産のサル、シロガオサキの獣舎にセンサー付きトンネルを設置。サルたちが雨の音や車の交通音、禅音楽やダンスミュージックを自由に選んで聞けるようにした。

「禅音楽など、よりリラックスできる音を気に入ると予想していたが、実際にサルたちがよくスイッチを入れたのは交通音の方だった」と、フィンランド・アールト大学(Aalto University)の研究員イリエナ・ヒルスキードウグラス(Ilyena Hirskyj-Douglas)氏はAFPに語った。

 圧倒的に人気が高かったのは走りすぎる車の騒音で、サルたちが交通音の流れるトンネル内で寝たり、毛繕いをしたりすることもあった。こうした行動は他の音では全く見られなかったという。

 研究に協力した動物園のキルシ・ピノネン(Kirsi Pynnonen)氏は、サル本来のコミュニケーション手段の幾つかに交通音が似ているのだろうと考えている。「野生のシロガオサキは、シーッという音を立てたりキーキー、ガーガー鳴いたりして高音域で連絡を取り合う」と同氏は指摘。動物園のサルたちは、路上の騒音の中にこうした音を聞き取っている可能性があると語った。

 研究チームによれば、動物にどんな音を聞くかの選択権を完全に預けた実験は今回が初めて。将来的には、動物園が飼育する動物に刺激ある環境を提供し、動物たちが自ら照明や暖房、室温をコントロールしたり、ゲームで遊んだりできるようになるかもしれないとしている。

 ピノネン氏によると、今回の発見には欧州各地の動物園が関心を寄せている。研究チームは次の実験ではトンネル内に画面を設置して、サルたちが何を好んで見るかを調べる予定だ。(c)AFP