【2月1日 AFP】オランダの動物園で、類人猿に仲間の画像をタブレットで見せ、その反応を調べる実験が行われている。地元の新聞は、この取り組みを「オランウータン向け出会い系アプリ」と呼んでいる。

 オランダ・アペルドールン(Apeldoorn)の中心街近くにあるアーペンヒュール霊長類公園(Apenheul Primate Park)によると、類人猿の感情に関する理解を深めることを目的とするこの実験では、同園のオランウータンとボノボに仲間の写真を見せて、その反応を「中立的」から「攻撃的」までの段階で評価しているという。

 同園は、サルたちが写真を見た後に画面上のボタンを押すことになっているとしながら、「この方法により、彼らの反応能力を測定することができる」と説明した。

 動物園によると、同国ライデン大学(Leiden University)と共同で実施している今回の研究は、霊長類の繁殖計画を向上させる可能性があるという。

 オランダの地方紙デ・ステントール(De Stentor)は「アーペンヒュール霊長類公園は、飼育している『サンボジャ(Samboja)』のような若い雌のオランウータンにタブレットで写真を見せて好みの繁殖相手を選ばせ、そして、その雄をオランダに連れてくるといったことが可能かどうかを念頭に研究を進めている」と記している。

 同園によると、絶滅危惧種の類人猿ボノボは、性的活動やシラミ探しのような肯定的な行動を写した写真に最も強く反応することを、初期の実験結果が示しているという。

 また、霊長類が仲間の感情に注意を払うことを今回の研究は示しており、「ボノボが感情を見分けるためにボディーランゲージ(身体言語)を用いているといったことが分かった」ともしている。

 一方で、オランウータンが対象の実験は一時中断を余儀なくされた。若い雌のサンボジャが、繁殖相手候補の写真を表示したタブレットを破壊してしまったためだ。(c)AFP