【10月30日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は29日、無人探査機「オシリス・レックス(OSIRIS-Rex)」が地球近傍小惑星「ベンヌ(Bennu)」から採取した石や塵(ちり)のサンプルの格納に成功したと発表した。サンプルの採取後、採取容器に物質がはまってふたが閉まらず、サンプルが大量に流れ出していた。

 オシリス・レックスは、太陽系の起源解明に役立つと期待されている宇宙物質のサンプルを持ち帰るミッションを行っているが、長さ3メートルのアームの端にある採取容器に大きめの石がはまってふたが完全に閉まらず、採取したサンプルがゆっくりと宇宙空間に流出していた。

 NASAは29日、アームを使って流出したサンプルをオシリス・レックスの中心近くにあるカプセルに入れ、ふたを閉めたと明らかにした。この作業は、各工程で前工程の画像とデータを評価しなければならないために、2日を要し、28日に完了したという。

 オシリス・レックスは現在、地球から3億2000万キロ離れているため、通信は片道18分半かかる。

 ミッションの主任研究員ダンテ・ローレッタ(Dante Laurett)氏は、「サンプルを失ったことは胸が痛む」と述べる一方、最低限必要な量を上回る数百グラムを無事に格納することに成功したと説明した。

 オシリス・レックスの地球帰還は2023年9月の予定で、月面探査計画アポロ(Apollo)以来最大となる宇宙サンプルを持ち帰ることが期待されている。(c)AFP