■性別の偏り

 南米の小国ウルグアイはこれまでW杯(World Cup)で2度優勝するなど、サッカー界で常に実力以上の能力を示してきた。その大きな要因は、同国最後の先住民族であるチャルーア民族の文化をルーツとする「ガラ・チャルーア(Garra Charrua、チャルーアの魂)」と呼ばれる闘志や、カヴァーニのような洗練されたスキルを持つ選手たちの存在だ。

 しかし、カヴァーニの今回のメッセージは、ウルグアイの少年たちに対し、自分たちの優雅な側面を大事にすることを恐れるべきではないと訴えている。

 ENFAではバレエをはじめコンテンポラリーダンス、タンゴ、民間伝承、叙情芸術のクラスがあるが、生徒440人のうち男子の数は4分の1を切る。特にダンスのクラスでは割合が劇的に低下し、女子の148人に対して男子は12人となっている。

 ENFAで幹部を務めているナタリア・ソブレラ(Natalia Sobrera)さんは、「タンゴでさえも性別の偏りは縮まっていない。近年もそれは変わっていない」と話した。男子は入学してもその多くが家族からのサポートが足りず、早々にドロップアウトしてしまうという。

「同年代の仲間からのプレッシャーもある。リュックサックの中にバレエシューズを隠している少年たちが大勢いて、父親が来るのが嫌で習っていることを黙っている子もいる」

 だからこそ、カヴァーニを前面に押し出した今回のキャンペーンは、少年たちに加え、それと同じくらい家族をターゲットにしている。

 大人になるとダンスやジェンダーに対する先入観を拭い去るのは難しいとソブレラさんは言う。だが、偏見を持たない少年にとっては「サッカーと同じ、動く習慣を身につける体を使った経験の一つ」であり、「ダンスをすることと男らしさは別問題だ」と訴えている。(c)AFP/Gabriela VAZ