【10月19日 AFP】地中海東部で緊張が高まる中、北キプロスで18日、大統領選の決選投票が行われ、右派でトルコが支持するエルシン・タタール(Ersin Tatar)首相(60)が現職のムスタファ・アクンジュ(Mustafa Akinci)大統領(72)を破り、当選した。

 キプロス(Cyprus)島の北部は1974年、ギリシャへの併合を目指したクーデターの後、トルコに占領された。1983年に北キプロスが独立を宣言したが、承認したのはトルコだけだった。

 南側のキプロスとの2国家併存を主張するタタール氏は得票率51.7%の辛勝だった。投票率は67%と高かった。連邦制による再統合を目指すアクンジュ氏が敗れたことで、国連(UN)が仲介する交渉再開を目指す試みは宙に浮く形になる。

 トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は選挙期間中に公然とタタール氏を支持し、議論を呼んでいた。

 タタール氏は当選後、トルコ国旗を振る数百人の支持者を前に演説し、エルドアン氏に謝意を示すとともに、「われわれは国家主権に値する。われわれはトルコ系キプロス人の声だ」「われわれは北キプロス・トルコ共和国内での生存のために闘っている。したがって、南の隣人と国際社会はわれわれの自由のための闘いを尊重すべきだ」と述べた。

 欧州連合(EU)加盟国であるキプロスの政府や与党からの公式な反応は出ていないが、野党は選挙結果に失望感を示した。一方、トルコのエルドアン大統領はタタール氏の勝利を祝福した。(c)AFP/Mathilde Dumazet and Odul Asik Ulker