【10月13日 AFP】新型コロナウイルスの影響で経営難に陥っている企業をマフィアが乗っ取るのを阻止するため、イタリア当局が取り締まりを強化している。現地紙が12日、報じた。

 全国紙レプブリカ(La Repubblica)によると、当局は今年これまでに月平均150社に対し、行政機関との契約締結を阻止する「マフィア排除措置」を講じている。

 同紙によるとこの数は、前年比で25%増だという。

 取り締まりの強化は、欧州連合(EU)の復興基金が犯罪組織の手に渡ることを阻止する幅広い取り組みの一つで、ルチャーナ・ラモルジェーゼ(Luciana Lamorgese)内相は新型コロナウイルスの流行当初からこうした事態に懸念を示していた。

 経済紙ソレ24オレ(Sole 24 Ore)によると、警察は現在約3000件の新型ウイルス支援基金絡みの詐欺事件を捜査しているという。

 マフィア排除措置が講じられた企業は、同国の三大マフィアの本拠地である南部のカンパニア(Campania)州、シチリア(Sicily)州、カラブリア(Calabria)州に集中している。

 マフィアは、伊政府が課した2か月超のロックダウン(都市封鎖)で経営難に陥った企業に対し、融資や買収を持ち掛けている。

 マフィアにはそれぞれ好む分野があるという。

 レプブリカによると、カンパニアを拠点とする「カモッラ(Camorra)」はマスクの調達、シチリアの「コーザ・ノストラ(Cosa Nostra)」は衛生用品、カラブリアの「ヌドランゲタ(Ndrangheta)」は医療関連事業を含む公共工事に手を出しているという。

 同紙によると、今年これまでに合計約1400社にマフィア排除措置が講じられており、その数は政府の支援金が企業に届き始めた4か月前から増加傾向にあるという。(c)AFP