空飛ぶ救急隊員、ジェットスーツの緊急出動実験成功 英国
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【9月30日 AFP】英国で29日、救急隊員がジェットスーツで現場に急行する「世界初のジェットスーツ救急隊員」の実験が成功した。救助の在り方を変える可能性がある成果だ。
イングランド北部の広い範囲で航空救急輸送を提供しているグレートノース・エア・アンビュランスサービス(GNAAS)は、イングランド北西部にある湖水地方国立公園(Lake District National Park)で行われた実験を支援したと発表した。
実験では、操縦可能なジェットエンジン付きパワードスーツを開発したグラビティ・インダストリーズ(Gravity Industries)の創業者、リチャード・ブラウニング(Richard Browning)氏が、谷底から、その上にある事故現場に見立てた場所まで徒歩なら25分かかる距離を90秒で移動した。
実験の動画には、ヘルメットとゴーグル、そしてジェットパックスタイルの装置が付いた赤いフライトスーツを着用したブラウニング氏が、1050bhp(制動馬力)のジェットスーツの出力を上げて地面から飛び上がり、岩だらけの地表のすぐ上を飛ぶ姿が映っている。
GNAASのアンディー・モーソン(Andy Mawson)業務部長は、実験場所はGNAASの通報データを基に選んだと語り、ジェットスーツが現実世界でどのように利用されていくのかは分からないが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で医療の提供に負担がかかっている今、「限界を押し広げるのは大事だ」と述べた。
「この技術によってこれまでよりも大幅に早く現場に到着できる可能性があると思っている。多くの場合、患者の苦しみは軽減され、命を救えるケースもあるだろう」(モーソン氏)
寄付金で運営され、年間1500件の通報に対応しているGNAASは、ジェットスーツの実験成功は1年間に及んだグラビティ・インダストリーズとの議論の成果だと述べた。
ブラウニング氏は、実際の救急隊員たちとジェットスーツの実験ができたのは「素晴らしい」ことだったと述べた。(c)AFP