【9月28日 AFP】全世界の電気供給量の増加分は、ゼロ炭素のエネルギー源でまかなうことができると、2050年までに世界の温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目指す国際組織が提言している。

 エネルギー移行委員会(Energy Transition CommissionETC)が今月16日に発表した報告書によると、二酸化炭素排出量が少ない電力の提供は現在と比べ6倍近いペースで増加させなければならないとしている。ETCは石油大手BPやシェル(Shell)などのエネルギー会社の幹部や環境保護団体、金融機関などが参加している国際組織。

 ETCの分析によると、世界の国内総生産(GDP)の0.5%に満たない資金を投資すれば、2050年までに炭素ゼロ経済を実現することは「技術的にも経済的にも可能」だという。

 その実現のためには、各国政府と企業が協力してエネルギー使用量を削減する一方、発展途上国の生活水準を引き上げ、電化ができない産業で水素や持続可能なバイオマスなどの新技術の利用を進めなければならないとしている。

 ETCはこの計画の実現には年間1兆〜2兆ドル(約105〜210兆円)の追加投資が必要だと推計しており、これは世界のGDPの1〜1.5%に相当する。

 エネルギー政策の専門家で国連(UN)の持続可能エネルギー関連部署の元チーフ・パートナーシップ・オフィサーのサンドリーヌ・ディクソンデクレーブ(Sandrine Dixson-Decleve)氏は「実質ゼロ炭素経済への移行は実際に十分に手が届くものだ」と話した。(c)AFP/Patrick GALEY