【9月25日 AFP】朝鮮半島(Korean Peninsula)の西側の南北境界線付近の海上で、韓国から北朝鮮入りを試みた男性を北朝鮮の兵士らが射殺した問題について、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-un)朝鮮労働党委員長は25日、「予期せぬ不名誉な出来事」であり、「非常に申し訳ない」と異例の謝罪を行った。韓国大統領府が発表した。

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 北朝鮮兵士らは22日、韓国の海洋水産省職員を射殺。韓国政府によると、遺体は新型コロナウイルス対策として海上で焼かれたという。

 北朝鮮軍による韓国の民間人殺害は、ここ10年ほど起きておらず、韓国では怒りの声が上がっている。

 韓国の徐薫(ソ・フン、Suh Hoon)国家安保室長は、北側からの書簡を公表し、「悪質なコロナウイルス」の脅威に直面し、文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-in)大統領と韓国国民を助けるのではなく「失望させる予期せぬ不名誉な出来事」が起きたとして、金委員長が「非常に申し訳ない」と謝罪したと明かした。

 この書簡で北朝鮮は、「北朝鮮の海域に違法に侵入」し、身元を明かすことを拒否した男性に対し、10発前後発砲したと認めるとともに、国境警備隊によるこの発砲は、現行の規定に従ったものだったと説明したとされる。

 北朝鮮側、しかも金氏本人からの謝罪は極めてまれ。南北関係が冷え込み、米朝間の核問題をめぐる交渉もこう着する中での異例の事態となった。(c)AFP/Claire LEE